みんな一緒、じゃなくていい

先日撮影に伺った、千葉県内の某保育園のお話です。仕事柄、いろいろな幼稚園・保育園に撮影に伺います。それぞれの園や地域性によって、子どもたちの様子も園の雰囲気も様々です。

先日伺った保育園は、今まで伺った中でも、ちょっと特殊な感じの園でした。1クラス15人~20人程度。未満児は年齢別、以上児は、年齢混合クラスになっています。この構成は、たまに見かけます。

一番特殊だったのは、一斉保育ではないという点でした。どういうことかというと、クラス全員で同じ時間に同じことをするわけではないということ。園庭で遊ぶ時間も、園庭で遊びたい子は園庭で遊びますが、室内で遊んでいたい子は室内で遊んでいる。食事(給食)の時間も、みんな一斉ではなく、順番というか五月雨式というか、バラバラと食べる。食べたい子は食べるし、まだ遊んでいたい子は、遊んでいると行った感じ。
以上児クラスは、給食をクラスの教室で食べともいいし、ホール(講堂)の一角で食べてもいいと言った感じです。

通常、園庭で遊ぶときは、クラス全員で一緒に外に出るし、食事の時間は、みんなで一緒にいただきますをして食べます。それをやらないということは、どういうことなのか。

園児たちを撮影しながら、様子を見てみると、みんなすごく生き生きとして、笑顔で楽しそうでした。
園庭で遊んでいる子は、外で遊びたいわけだし、外で遊びたい子どうし、仲良く遊んでいるし、もちろんその中に保育士さんも混ざっています。教室で遊んでいる子達も、外に行きたいけど行けない、というわけではないので、楽しそうに仲良く遊んでいます。

一番ビックリしたのは、未満児クラスの食事の様子でした。0歳児クラスは、保育士さんが一人ずつ、離乳食やミルクをあげています。2歳児クラスは、数名ずつ順番に、テーブル1つに付き保育士さんがひとりついて、食事をとっていました。テーブルは、1クラスに2つか3つ。

すると、2歳児クラスの食事のとり方を撮影していて、あることに気づきました。みんな、食べ方が非常に上手なのです。スプーンの使い方、口への持っていき方、ほとんどこぼすことなく、きれいに食べているのです。食事の量も、一人ひとりに尋ねながら、このおかずは、これくらい、ご飯はこれくらいと、丁寧に聞きながら盛り付けていました。なので、食べきれずに残す子もいない状況でした。

通常、この年齢のクラスだと、結構こぼしながら食べるので、気をつけて歩かないと、いろいろなものを踏んづけたりします。でも、この園では、その心配は皆無でした。子供によって、スプーンの使い方の上手な子とそうでもない子がいますが、保育士さんが、上手に見てあげながら、食べているので、ほとんどこぼさないのです。床に落としても、自分で拾うし、食べ終わったら、食器もきれいに重ねて、エプロンもきちんと畳んで、ごちそうさまをしていました。

保育士さんにとっては、こういう方法と、みんなで一斉にやるのと、どちらのほうが大変なのかは、わかりませんけど、撮影が終わってみて感じたのは、この園の子どもたちには、所謂やらされている感、というものが無いのではないかと思いました。まあ、1日だけなので、断定的なことは言えませんけど。食事の後も、眠たい子はお昼寝するし、眠くない子は室内で遊んでいます。もちろん、寝ているこのそばには行かないし、大声を出して遊んだりはしません。なので、全員の午睡の様子を撮影することはできませんでした。(笑)

考えてみれば、高校や大学に入ると、休み時間に弁当を食べたり、学食で食事を摂るタイミングも各自の判断。ある意味、保育園時代から、先んじてそういう行動パターンを学習しているとも言えるのかも。
小学校に入ると、全員一緒というパターンになってしまうので、そのタイミングでどうなるのかどう感じるのかは、微妙な問題ではあると思いますけど。小学校でも、こういう対応をするのは、流石に難しいかな。

この保育園は、子供の数が200名を超える結構大きい部類に入る園ですが、こういう対応をしているというのは、一考に値するのではと感じました。